家を売らずに債務整理をするときの選択肢
借金が増えると月々の住宅ローン返済に回すお金が無くなり、最終的に家を手放さざるを得なくなる方がたくさんおられます。そんな方の中には、債務整理を検討している方もいるのではないでしょうか。「債務整理をしたら家を手放さないといけない」と不安に思われる方も多いと思いますが、債務整理のなかには家を手放さずに済む方法もありますので、ローン返済が苦しいと感じたら、早めに弁護士に相談しましょう。
家を売らずに債務整理をする方法
◆個人再生（住宅条項付）
個人再生とは、裁判所を通じて返済総額を５分の１ほどにまで圧縮をした上で、圧縮された負債を3年（または5年）かけて返済する計画を立てる債務整理方法です。個人再生では、債務者が自ら再生計画と呼ばれるものを作成し、裁判所に提出します。その再生計画について裁判所から認可を受けられれば、借金を大幅に減額することが可能になります。
個人再生のなかでも、住宅資金特別条項（住宅ローン特例）を利用すれば家を残したまま債務整理が可能です。住宅ローン特例とは、簡単に説明すると「住宅ローンを従来どおり支払い続けるかわりに、自宅を処分しなくても済む」というものです。カードローンやクレジットカードなどの住宅ローン以外の借金については個人再生で減額しますが、住宅ローンだけはこれまで通り支払うという制度です。住宅ローン特例には、①住宅ローンを個人再生の対象から除外する代わりにマイホームを残せる、②住宅ローンの返済のリスケジュールなどもできる、③家・土地の差押えや競売も停止できるなどのメリットがあります。
◆任意売却（親族間売買）
任意売却とは、売却したお金を全額使っても住宅ローンが返済できない状況の家、つまり、まだ住宅ローン等が残っている住宅を、お金を貸してくれた金融機関との話し合いによって売却をする手続きです。また、任意売却は、住宅所有者の意思で自宅を売却する方法のため、自宅を出る時期を調整できたり、売却額の中から引っ越し費用を捻出したりすることも可能です。
なかでも、親族間売買という形を取れば、形の上では自宅は売却され物件の所有権は親族に移りますが、親族の了解を得られればそのまま住み続けることができます。親族間売買というのは、本来ならば任意売却で投資家などの第三者が物件を購入するところを、親族に購入してもらうという手法です。しかし、その後の住宅ローンは親族が支払うため、大きな額を出す余力のある親族が周りにいるかどうかというのがネックとなります。また、親族が買い主となる場合、債権者（銀行など金融機関）は、価格に特に厳しい目を向けるようになるため注意しなくてはなりません。
◆任意売却（リースバック）
リースバックは、不動産会社に家を買い取ってもらい、その後は不動産会社から家を借りて住む方法です。新しい買い主となる投資家と賃貸契約を結んで、家賃を払うことで自宅に住み続けることができるのです。リースバックにおいても上記の親族間売買と同じように、家の所有権は手放すことにはなりますが、居住権は維持でき家族と一緒に家に住むことができます。リースバックの契約内容によっては、将来家を買い戻すことができるケースもあります。
一方で、毎月家賃を支払わなくてはならないというデメリットがあります。リースバックによる賃貸契約では、相場よりも高めの家賃が設定されるケースが多いため、家賃の支払いが今後の負担となってくる可能性があるので注意が必要です。
◆リバースモーゲージ
リバースモーゲージとは、最近注目されている高齢者向けの不動産担保ローンのことをいいます。自宅を担保に生活資金を借入れし、自らの持ち家に継続して住み続けることができます。契約者が亡くなったあとに自宅を売却して返済することを前提に、自宅の売却査定額の50％～60％の融資を受けられます。契約者が存命の間は、毎月利息分だけを返済するだけでよく、高齢者向けの貸付制度といえるでしょう。
リバースモーゲージは、直訳すると「リバース＝逆」「モーゲージ＝抵当・抵当権」という意味となります。一般的な住宅ローンは、一括で受け取った融資額を月々返済し、最終的に借入残高がなくなりますが、リバースモーゲージは毎月、あるいは一括で借入れた分の残高を契約者の死後に自宅を売却して一括返済するという仕組みで、一般的なローンとは順序が逆になるため「リバース＝逆」という名称がつけられています。
リバースモーゲージは、各都道府県の社会福祉協議会や金融機関が取扱いをしていることが特徴です。どこのリバースモーゲージを利用するかによって、借入金の使途や貸付限度額、対象となる物件が異なります。リバースモーゲージはもともと高齢者が生活資金を調達するために作られた制度のため、多くの金融機関で年齢制限があります。（55歳以上の方が利用できるケースが多い）また、リバースモーゲージは、将来相続人が引き継ぐであろう自宅の売却を前提としたローンのため、リバースモーゲージを利用する際には、相続人の同意が必要となります。
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